この犬、名前は「ハナ」、18才のおばあちゃん犬です。写真は一昨年の暮れに、我が家にやって来た頃の元気な姿です。今では、自分で立ちあがれないほど足腰が弱くなり、要介護状態になりました。
2年前、ケアマネージャーさんから「犬の散歩はお願いできますか?」と電話がありました。足のわるい一人暮らしおばあちゃんの唯一の家族で、散歩に連れて歩くことが出来ないので、玄関を開けて「オシッコに行っといで~」と、外に出してあげているとのことでした。部屋のあちこちには、がまんできずに漏らしたオシッコのあとだらけ…。
そこで、一日に一回、協力会員さんが交代で散歩のお手伝いを始めました。初めは、飼い主のおばあちゃんから離れるのを怖がっていたのですが、2、3回目からは私たちを来るのを、今か今かと待ってくれるようになったのです。綱をグイグイ引っ張って走るほど元気で、とてもおばあちゃん犬には見えません。雨の日も、雪の日も、もちろん日曜日も、お訪ねするのが楽しみな日々となりました。
4ヶ月ほどたった年末に、おばあちゃんの持病が悪化し入院することになりました。「ハナを預かってくれるか、もらってくれる人はいないだろうか?」とおばあちゃん。おばあちゃん犬をもらってくれるような人は、簡単に見つかりそうにもありません。
実はその頃、息子の結婚が数カ月後に控えていて、そのお嫁さん予定の方はなんと「花奈(はな)さん」という同じ名前だったのです。そんなわけで、初めて出会ったときから他人ごとには思えず、親しみも感じてはおりました。ここで、娘になる人と同じ名前のハナちゃんを見捨てるわけには…と、我が家で預かることにしたのです。
結局その後、飼い主のおばあちゃんは退院することが出来ず、昨年12月新聞の訃報欄を見て、旅立たれたことを知りました。散歩での「たすけ愛」がこうじて、我が家のペットとなり、「看取り」まですることになりました。
老犬の介護もたいへんですが、たくさんのよろこびも共にすることができ、ステキな機会を与えていただいたと感謝しています。